チームで取り組む認知症ケア
〜ユマニチュードについて〜
施設名: 介護老人保健施設 敬愛の家
発表者: 小川 恵/おがわ めぐみ(介護職員)
【はじめに】
当施設では、認知症介護において勉強会や認知症介護関連の研修への参加などから基礎的な知識や技術を身につけ、サービスの向上に取り組んでいます。様々な研修の中で特に魅力を感じた「ユマニチュード」のケア方法を当施設で取り入れ、チームケアによりサービスの向上へとつながった事例をここに報告いたします。
【ユマニチュードとは】
フランス生まれの認知症ケア。
@見つめること(同じ目の高さで正面から)
A触れること
B話しかけること(優しく前向きな言葉で)
C立つこと(立つように支援すること)
この4つの動作を基本とした手法。人は見つめてもらい、誰かとふれあい、言葉を交わすことで存在する。そして、最期の時までできるだけ立つことで人としての尊厳を自覚していただくというもの。
【事例】
A様 女性 87歳 要介護4
疾患:パーキンソン病 認知症
全身性の筋力低下著名。パーキンソン病により差はあるが、基本動作、ADL動作ほぼ全介助。口数は少なく、話しかければ「うん」などの一言返事がある程度で表情の変化はほとんどない。
【実施内容及び結果】
今回の試みは、ユマニチュードの理解を深め必要性を探る目的で行った。職員全員が入所者様との関わり方を統一し、おしめ交換時や離床時等、何かをする時にはまず入所者様の目を見つめ、体の一部に触れながら話しかけること(今からすることの説明)を心がけた。最初は職員も半信半疑だったが、A様の場合このケアを行っていくにつれ、表情は穏やかになり、笑顔もよく見られるようになってきた。また、日常動作に関しては嫌がっていた車椅子駆動やベッド上の体位変換など声掛けに素直に応じていただける場面が増え、今では歩行訓練が行えるようになってきている。
【おわりに】
今回の取り組みは、職員全員が統一されたケア方法を行うことで入所者様へのサービスの向上につながったと同時に、入所者様とのコミュニケーションの大切さを再認識するいい機会になったと感じられた。今後もユマニチュードを継続し、入所者様がより良い生活を送られるよう常にプロ意識を心がけ、様々な手法をどんどん取り入れながら生活レベルの維持、向上に努めていきたい。